“普通は「丸」を描こうとすると、ある点から出発して、あたりを一周回ってきて出発点につなぎますが、これだとつなぎ目がいびつになります。デザイナーの描き方は違いました。空中に少し浮かせた状態でペン先を一定のスピードで円運動させながら当たりを付け、軌道が安定してきたところで、ふわりと着地させます。そのままするすると一周以上、紙の上を走らせてから、すっと浮上させるのです。
始まりも終わりもない悠久の円運動を作り、その一部を紙に定着させる。このテクニックは私が最初に覚えたデザイナーの技になりました。今でもスケッチを描く前には、初心に返って、一枚の紙を楕円で埋めつくすことから始めます。
”